「どう、きれいになった?」
と聞くと、真っ黒になった雑巾を見せてくれました。外の手洗いをそうじしていた子に、
「冷たくない?」
と聞くと、
「冷たいです」
と言う手は真っ赤でした。
でも、どの子も、今日の天気と同じように穏やかな表情で作業をしていました。
「先生、いい卒業式にしましょうね!」
そんな声をかけてもらいました。あと5日です。
こんな幸せな気持ちになったのはいつ以来でしょう…。
5時間目に体育館で「3年生を送る会」が行われました。卒業式が学校行事で先生たちが企画し進めるのに対し、この送る会は、生徒会が企画・運営のすべてを行います。だからこそ、1年生や2年生が先輩の3年生とどう接してきたか、どういう気持ちで卒業という門出をお祝いするか、それらがすべてストレートに表現されます。
学年はさまざまな写真や動画を駆使したクイズ形式で笑わせてくれた後、この日のために練習してきた合唱を心を込めて歌います。学校祭のブロック合唱もすばらしい歌声でしたが、自分たちの勝利のために歌う歌声と、大切な人のために歌う歌声はこんなにも違うのだと、あらためて聴き入りました。もちろん、そのお礼としての3年生の歌声も優しい響きでした。最後には、生徒会執行部はこの日のために有志を募り結成した応援団が力強いエールを送ってくれました。
優しくてとても大きな存在だった先輩。だからこそ、優しさと大きくなった自分たちの姿を見せることで送り出してくれたような、そんな「3年生を送る会」でした。
※下の合唱の画像をクリックすると、それぞれの学年の歌声をお聴きいただけます。
1年合唱「Unlimited」 | |
2年合唱「未来へ」 | |
3年合唱「友~旅立ちの時~」 |
今、校内で好きな場所があります。それは3年生の教室の廊下、下駄箱、美術室前です。そこには、「弥中で過ごした時間、これから~」というタイトルの作品が飾られいます。これは黒く塗られたガラスのその黒い塗装面を先のとがったもので引っかき、そこに着色した「アートグラス」と呼ばれるものです。下絵から時間をかけて取り組みました。特にテーマが卒業を前にした自分の気持ちと重なるので、いつも以上に思いのこもった作品に仕上がっています。見ていると、クラスでのこと、部活動、自分の夢など、ひとつひとつの作品から、3年間の中学校生活が浮かび上がってきます。
そして給食の時間に、3年生の思い出がいっぱい詰まったその校舎に響いたのが、29年度前期生徒役員選挙放送でした。「こんな弥富中学校にしたい」という熱い思いをマイクに向かって、そしてその向こうにいる全校のみんなに向かって語ってくれました。原稿を両手で握る姿に緊張感はありましたが、その声は3年生もしっかり聞きとめてくれたはずです。
バトンはあと少しで引き継がれようとしています。