弥富中の子たちが出場するのは「和文入力A部門」で全国ランキングの上位110人が出場します。各回15人程度のグループに分けて会議室のような周りの音が聞こえない部屋で行われます。受付をすませ、その第5グループが始まるまで隣の控室にいる間に徐々に緊張感が高まっていきます。でも、そこは6人で来ている強みで、緊張の中にも隣に仲間がいることでいつもの自分を取り戻すことができます。
「はい、では移動してください」
係の人に促され、いよいよ競技会場に。会議用の長机に2台ずつのパソコンがあり、その前に座ります。小柄な子は手を挙げ座布団をもらっていました。まず練習入力です。ここでキーボードのタッチをつかみます。そして、5分間程度の練習を終えたところで、競技開始です!
「タタタタタタ…」
聞こえるのはキーを打つ音だけ。しかもそれは、いつも学校のコンピュータ室で聞いているよりも速く、強く聞こえました。子どもたちの頭はほとんど動きません。原稿をペーパーホルダーに挟んで画面の横に置いてありますが、実際にはもう頭に入っていると言っていました。子どもたちによると、自分より前に座っている子の画面が見え、それも焦りにつながるようです。さまざまなプレッシャーと自分がこれまでやってきた自信とがせめぎ合った5分間が終わると、画面が強制的に終了画面に変わりました。