ご主人様へ
ご主人様、私はここにいます。
ずっとそばにおいてくださり、
ずっと大切にしてくださったご主人様。
それはとても楽しく充実した日でした。
でも、それは、突然やってきました。
ご主人様の手から私は床に落ち、
通り過ぎるたくさんの足から逃げるように身をひそめ、
じっとそこに立ちすくむことしかできませんでした。
ご主人様のことを声がかれるまで呼び続けました。
でも、ご主人様は気づいてくれませんでした。
私は今、ここにいます。
どうか、気づいてください。
どうか、もう一度私を手にとってください。
そして、もう一度一緒の時間を過ごさせてください。
職員室前のロッカーの上に並べられたたくさんの落し物の前に立つと、こんな声が聞こえてきました。