慌しく給食を食べ終えると、荷物をかばんに入れ、時計を何度も見ていました。そして、5分刻みに、担任の先生が、
「はい、次、○○高校へ行く人」
と声をかけます。教室を出たその子たちは、コミュニケーションホールに集まります。そこで、進路担当の先生から、
「はい、これが願書です。落とさないように、気をつけて行くんだよ」
と茶色の封筒を受け取ります。今日は私立高校・専修学校一般入試の出願です。心配された天気も、ここ数日間の中では一番穏やかなよい天気になりました。
あれ、少し緊張した表情の子が。手には小さく幾重にも折りたたんだ紙を握りしめていました。
「どうしたの?」
「昨日、お母さんに、高校への行き方を紙に書いてもらったんです」
「へぇ」
「『曲がってすぐ、右』って(笑)」
と、緊張した中にも、お母さんの愛情を感じて、それが背中を押してくれているようでした。
恵まれた天候、温かい愛情。この子たちは幸せ者です。